2005年10月13日

「朝日新聞コラム」 館主が朝日新聞に寄せたコラムです。

Filed under: 奈良屋通信 — Cinamedict @ 12:00 AM
「カーテンコール」11/12ロードショー
映画が人々の生活の楽しみだった昭和30年代の映画館が舞台。その当時は二本立て三本立てで、映画館がひしめき合い、そこで人々が泣き笑い楽しんでいた時 代。ある地方の映画館の映画と映画の幕間の休憩時間に物まねやコントで笑わせていた芸人とその家族の物語。監督は「半落ち」の佐々部清。
物語は映画館に長年働くモギリのオバサンの昔話から始まる。監督はこの役の女優にはどうしてもTVタレントではなくて映画の匂いのする映画女優にやって欲 しかった、その女優こそ大映で雷蔵の相手役や個人的には「雪女」の印象が深い藤村志保。そして長年東映で切られ役をしていた福本清三が映写技師の役と、監 督のこだわりで活動屋の匂いのする人々が必要だった。座頭市や網走番外地、渡り鳥。名作として残ってはいないけど、あの頃拍手喝さいを浴び泣き笑い楽しみ だった映画の数々がスクリーンによみがえる。映画館。そこにはまだ貧しかったけど一生懸命働いて家族で笑って泣いた楽しかった日々があった。
そういう私も青森市の二番館、奈良屋劇場で生まれ育った「小屋育ち」。生活の場も映画館だった子供の頃の思い出といえば、その当時見た映画の数々と、まさ しく“うなっていた“人・人・人。この映画は、私にとってなつかしく、そしてちょっぴり寂しい。

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