TOO LIFE「しゃべれども しゃべれども」
人は、他人とのコミュニケーションをとるため “しゃべる"ことで自分の意思を伝え日々生活している。その言葉から喜びが生まれ、愛が生まれ、憎しみや、悲しみも生まれる。言葉を伝えるということは、 なかなか難しい。当然この“しゃべる"ということが得意な人もいれば苦手な人もいる。
映画「しゃべれども しゃべれども」は、そんな“しゃべる"のが苦手な人々が、“しゃべり"のプロ、落語家に“しゃべり"を習う物語。一言に落語といって も、今ではテレビ番組の「笑点」くらいしか思い浮かばないかもしれないが、落語は、楽しいし奥が深い。古典落語は、古いものは室町時代頃から語り続けられ ているのにもかかわらず、志ん生の「火焔太鼓」、五所川原で生まれた八代目文楽の「明烏」みたいに、同じ演目を、同じ演者がやっても飽きないどころか、ま た聞きたくなる不思議な魅力がある。僕は、父親が落語好きということもあって、子供の頃から落語に親しんできた。東京の大学に入ってからは、末広亭や上野 鈴本などの寄席にも通った。青森から一緒に出てきて、築地の魚河岸に勤めた友達に誘われ、噺家の勉強会に行き、落語を聞くだけでなく、先代の小さんに、そ ばの粋な食い方教わったり、酔っ払って普段着で高座にあがった談誌のとても書けない危ない「代書屋」を聞いたり、落語生活を満喫した。そして青森に帰って からは、なかなか生の落語に接する機会がなかったが、ひょんなことで自分の映画館で落語会をやることに、その名も「ディクト寄席」。最初に、かっこつけて 第一回なんてつけたものだから「第二回もあるよね?」と、お客さんにたずねられ、調子に乗って第二回も開催。好評の内に第三回は「しゃべれども しゃべれ ども」で主役の国分太一に落語を教えた柳家三三(やなぎや さんざ)が映画公開の前日に独演会を行う。映画と落語の融合どっちも好きな僕としてはとても楽 しみだ。
「しゃべれども しゃべれども」
情緒あふれる東京の下町を舞台に、1人の落語家のもとに集った口下手な人々の人間模様が描かれている。温かい涙がこぼれるハートウォーミングでさわやかな ストーリー。思うように腕が上がらず、悩む二つ目の落語家をTOKIOの国分太一が演じる。原作は「本の雑誌」ベストテンの一位に輝いた佐藤多佳子の同名 小説。監督は「愛を乞うひと」で日本アカデミー賞最優秀監督賞を受けた平山秀幸。
シネマディクトで5月26日ロードショー