そう、僕は生きている
「潜水服は蝶の夢を見る」これが今回紹介する映画の題名である。これだけでは“なんのこっちゃ!”な題名だ。でも、この映画は、なんのこっちゃではない。それどころか、日々生きている僕たちに無為に過ごすことのおろかさや、普通に生きていることの素晴らしさを、かみしめさせてくれる。映画の主人公は、世界的なファッション雑誌「ELLE」の編集長としてパリで活躍していたジャン=ドミニック・ボビー。突然、脳梗塞で倒れた彼は、体が完全に麻痺してしまう。ただ一つ左目の、まぶただけをのぞいては。しかも、体は動かず言葉もいえないが、意識は鮮明だというロックト・インシンドローム(閉じ込め症候群)という絶望的な状態。まぶたの開け閉めだけでコミュニケーションをとり、20万回以上の瞬きで、自伝を綴った奇跡の実話の映画化。体は潜水服を着たように動かなくても、心は蝶のように飛び回っていたジャン。生きることの尊さと勇気を与えてくれた彼は、その本がフランスで出版された2日後に天に召された。
「潜水服は蝶の夢を見る」
今年度アカデミー賞
監督賞・脚色賞・撮影賞・編集賞ノミネート
今年度ゴルデン・グローブ賞
監督賞・外国語映画賞受賞
ほか38部門の映画賞を受賞。
監督:ジュリアン・シュナーベル
撮影:ヤヌス・カミンスキー
原作:ジャン=ドミニク・ボビー
出演:マチュー・アマルリック
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