2011年3月24日

砂漠の花 本当の話

Filed under: 今日のダニー — Cinamedict @ 10:39 AM

ソマリア出身の世界的トップモデル、ワリス・ディリーが波乱に満ちた半生をつづった自伝「砂漠の女ディリー」を映画化した伝記ドラマ。
13歳のときに祖父と同等年齢の老人と結婚させられそうになり、一人でアフリカの砂漠の中を逃げ出した。その後イギリスに渡りメイド、ホームレスその後マックの店員をしていた時にカメラマンにスカウトされてファッションの世界へ・・・。
こういうふうに”ざっと”あらすじを書くとスーパーモデルのサクセスストーリーのように思うかもしれないけれど、この映画は二面性がある。それは彼女の心と体の深い傷の過去。衝撃的な習慣の告発だ。
5歳のときに女性性器切除(「女性割礼」FGM)を施されたという。「女性割礼」FGM(female genital mutilation女性性器切除)ってなんだ?という人が日本では多いかもしれない。男の割礼はユダヤ教とかの儀式として知っている人はいるかもしれないが、女性の割礼があるとは。女性性器のクリトリスや包皮、外陰部の除去、切除、閉鎖(癒合)、ときには膣の切除などが組み合わされて行われ、アフリカ、中東、アジアなどの一部の開発途上国で、貞操、純潔の象徴として、現在もまだ行われている。
FGMを行う理由としては、結婚に備えて純潔・貞節を守らせるための処女性、男性への従属や従順さの証、美的外観の形成、性や出産にまつわる言い伝えや教えなど究極の女性差別といえる慣習。
彼女はアフリカの大地で教育を全く受ける事が無いままに成長し、自ら運命を切り開いて社会的な地位を確立し、それにとどまらず国連の大使としてFGMの廃絶に向けて活動している。砂漠に咲いた花は、力強く美しい。

監督: シェリー・ホーマン
出演: リヤ・ケベデ, サリー・ホーキンス, ティモシー・スポール
 < 3/26~4/8>

ccopyright©2001Cinema dict シネマディクト