2008年6月3日

ノザック・コラム アフタースクール

Filed under: ノザック コラム — Cinamedict @ 9:39 PM


映画の神様といわれたマキノ省三の名言で「一ヌケ、二スジ、三ドウサ」というのがある。一ヌケとは映像が鮮明でなくてはいけない=キャメラのこと、ニスジは物語の筋=シナリオ、ストーリーのこと、三ドウサとは、演出や俳優の演技のこと。映画の黎明期、明治時代、技術的に鮮明な映像を撮るのは技術や経験が必要で映画作りは、まずは映像だった。時代が進むにつれて大正末期には一スジ、二ヌケとなって、現代では映像技術の進化でヌケという言葉も死語になり一スジ、二ドウサが映画制作の基本と言っていい。おもしろいストーリーと人気の役者が、そろっていれば言うことはない。そんな映画が「アフタースクール」。デビュー作「運命じゃない人」で、いきなりカンヌ映画祭や数々の賞をもらった内田けんじ監督・脚本の最新作は、大泉洋、佐々木蔵之介、堺雅人という、人気の実力派俳優をそろえて、登場キャラも観客も一緒になって騙される不思議で痛快な作品。
「アフタースクール」ロードショー公開中!
監督:内田けんじ
出演:大泉洋、佐々木蔵之介、堺雅人
30代になった、かつての同級生たちが織り成す“大人の放課後”を、細部まで練り込まれた脚本と巧みな構成で描く。予測不可能な展開で観る者を翻弄する新感覚エンタテインメント。

ノザック・コラム 明日への遺言

Filed under: ノザック コラム — Cinamedict @ 9:34 PM

映画「明日への遺言」は、第二次大戦中におきた無差別爆撃によるアメリカ軍の爆撃機の搭乗員が、爆撃後捕らえられて処刑された事件で、敗戦後戦争に勝った側が負けた側を裁く戦争犯罪裁判を扱った映画。国際法上では理不尽ともいえる無差別爆撃を戦犯裁判で、たとえ戦には負けたとしても、言うべきことは言って筋を貫き通し、19人の囚われた部下の全責任を一身に負った東海軍司令官・岡田中将の物語。戦争犯罪裁判が舞台ということもあり、イメージ的に右よりというか、軍国主義的な映画に見えるが、映画の本質は、大人の責任のとり方、日本人としてこの国に生きてきた清清しくも、厳しくそして満ち足りた日本人の物語。とめどなく涙が流れる。この涙は、なぜなのか。悲しいから、くやしいから。今の自分が情けないからでもあるのか。自らを照らし合わせてみた自省の涙なのかもしれない。映画というものに力があるのならば、この映画は、これからの日本を明るい社会へと僕らを導いてくれる。そんな力がある映画だとおもう。

ノザック・コラム シルク

Filed under: ノザック コラム — Cinamedict @ 9:32 PM

晴れ着の系譜。美しき装いを求めて。
人間の生活で衣食住は、欠かせないものの基本だが、とりわけ「衣」に関しては近年の化学繊維の誕生と物流の発達で、この100年に劇的な変化を遂げた。おおよそ100年前の日本、特に綿花がとれない北国では絹どころか木綿でさえも貴重であり日常に着る着物でも大事に大事に着た。刺し子をして補強し“つぎ”をあて、裂いて織り直し、ついに着られなくなったら布団の綿代りにした。信じられないかもしれないが山深い農村では昭和初期まで、そんな生活が当たり前だったという。それでも、お正月や、お祝いなどの“晴れの日”には特別の装いがあり、それを“晴れ着”と言った。生きていくための「衣」の他に、着飾るための「衣」も古今東西にかかわらず人間は限りない美の追求をしてきた。
それは平凡な日々を暮らすためにも必要な、少しだけの生きがいのエッセンスのような物なのかもしれない。
映画「シルク」は、まだ日本が“世界の果て”といわれていた頃、シルク(絹)を求めてヨーロッパからやってきたフランス人青年と日本の少女との秘められた純愛物語。『海の上のピアニスト』のアレッサンドロ・バリッコの「絹」を映画化。監督は、『レッド・バイオリン』の鬼才、フランソワ・ジラール。出演:マイケル・ピット、キーラ・ナイトレイ、役所広司、中谷美紀、芦名星

2008年5月27日

ブラバンの聖地 普門館って知ってました?

Filed under: ノザック コラム — Cinamedict @ 10:14 AM

ブラス・バンドといえば、まず思い浮かべるのが高校野球での甲子園で♪ウララ ウララ ウラウラでー♪と炎天下の中で一心不乱に演奏して応援する光景が思い浮かべられる。キラキラ光るトランペット、サックス、ホルン、トロンボーン、などの金管楽器を演奏するだけでもカッコイイのに、指揮者に合わせてダンスみたいに、いっせいに右向いたり左向いたりといろいろなパフォーマンスも今や当たり前になっている。そのブラバン、ブラス・バンド自体の甲子園がある。それが東京の「普門館」で毎年行われる全日本吹奏楽コンクール。ブラバン経験者なら誰もがあこがれる場所。その“あこがれ”目指してガンバル青春ハチャメチャ・ブラバン・ムービーが「ブラブラ・バンバン」だ。音楽は一人でも、何歳になっても楽しいけれど、若き有り余るエネルギーはちきれんばかりの高校生が個々の楽器を持ち寄り音楽を奏でると、魔法のように人を酔わせる。音楽は素敵だ。
「ブラブラ・バンバン」
原作は柏木ハルコの1999年より「週刊ヤングサンデー」に連載し、人気を博した同名漫画。高校の吹奏楽部を舞台に、一風変わった主人公が一度はつぶれた部を復活させ、幾多の困難を乗り越えて、ブラス・バンドの甲子園「普門館」を目指していく青春☆学園♪音楽ムービー!
監督:草野陽花  
音楽監督:磯田健一郎
出演:安良城紅 福本有希 岡田将生   藤村俊二 森本レオ 宇崎竜童
5月10日~5月23日迄
シネマディクトで上映。

そう、僕は生きている

Filed under: ノザック コラム — Cinamedict @ 10:13 AM

「潜水服は蝶の夢を見る」これが今回紹介する映画の題名である。これだけでは“なんのこっちゃ!”な題名だ。でも、この映画は、なんのこっちゃではない。それどころか、日々生きている僕たちに無為に過ごすことのおろかさや、普通に生きていることの素晴らしさを、かみしめさせてくれる。映画の主人公は、世界的なファッション雑誌「ELLE」の編集長としてパリで活躍していたジャン=ドミニック・ボビー。突然、脳梗塞で倒れた彼は、体が完全に麻痺してしまう。ただ一つ左目の、まぶただけをのぞいては。しかも、体は動かず言葉もいえないが、意識は鮮明だというロックト・インシンドローム(閉じ込め症候群)という絶望的な状態。まぶたの開け閉めだけでコミュニケーションをとり、20万回以上の瞬きで、自伝を綴った奇跡の実話の映画化。体は潜水服を着たように動かなくても、心は蝶のように飛び回っていたジャン。生きることの尊さと勇気を与えてくれた彼は、その本がフランスで出版された2日後に天に召された。

「潜水服は蝶の夢を見る」
今年度アカデミー賞
監督賞・脚色賞・撮影賞・編集賞ノミネート
今年度ゴルデン・グローブ賞 
監督賞・外国語映画賞受賞
ほか38部門の映画賞を受賞。
監督:ジュリアン・シュナーベル
撮影:ヤヌス・カミンスキー
原作:ジャン=ドミニク・ボビー
出演:マチュー・アマルリック

ノザック・コラムその2

Filed under: ノザック コラム — Cinamedict @ 10:10 AM

今年の正月、若手のお笑い芸人が出ているテレビ番組のなんと多かったことか。それだけ人々が笑いを欲しているということなのだろう。毎日暗いニュースばかりで、きがめいってくる。テレビくらい明るい話題が欲しいと思うのは僕だけではないと思う。日常生活で笑いは、とても重要なことだ。笑うという行動は、とても体に良いことだと医学的にも証明されている。その笑いにも種類がある。お笑いの世界では、その昔、人をたたいたり、いやらしい話“しもねた”や、人をさげすんだ笑いは下品とされていた。今は下品も上品も無いようになっているが落語の世界では、まだ上品な笑いが残っている。そもそも落語の笑いは長年語り継がれてきたお笑いの結晶みたいなもので、話の内容がわかっていても何度聞いてもおかしい、楽しい。
「歓喜の歌」は、人気・実力とも今の落語界では誰もが認める立川志の輔の新作落語「歓喜の歌」の映画化。おかしくもホロッとさせる上品で上等な笑いの映画。

青森市のフリーペーパー「ノザック」のコラム。その1

Filed under: ノザック コラム — Cinamedict @ 10:07 AM

映画は素敵な人生のパートナーです。映画館のスクリーンには無限の夢の世界が繰り広げられます。最近流行の品格も映画を見てさえいれば、知らず知らずに身につきます。あこがれや目標も映画から見つかるかもしれません。世界中のあらゆることが映画から学び取れます。映画は極上の先生であり、友人であり、恋人なのです。この場合の映画は、自分で見る映画決めて、時間作って、映画館に行って、お金払って見る本物の映画です。なにかと不便ですが、その不便が素敵なことだってあるのです。今回ご紹介する「マリア」は、イエス・キリスト誕生までの苦難の道のりを描いたマリアと、その夫ヨゼフの信じあう夫婦の物語です。今では当たり前のように祝う年末の行事が、どのような出来事があってクリスマスとなったかを知ることで、今年のクリスマスはちょっと違ってくるかも。本当のクリスマスはプレゼントをもらってケーキを食べる日では、けしてないのです。

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