意外ね
「天使の眼、野獣の街」は、あの叶井俊太郎氏のトルネード・フィルムで配給している香港映画。正直言って上映するにあたって”どんだべなー”感いっぱいの映画だった。だってフィルム1本しかないし、プレスも紙一枚の簡易的で写真もチッチェー(これがパンフにもなっている!300円だけれど)どんだんずーな映画。いつものように叶井節炸裂ラインアップ見ながら”やってよやってよ”コールにほだされて、とりあえず事務所では”なるほどね~”的な言葉でお茶を濁しておいたのだけれど期待はしていなかった。これがお得意のゲロゲロホラーだと即決ダメだしできるんだけれど。考えると彼のお家芸のゲロゲロホラー大嫌いな僕。それでも十年以上付き合っているのも不思議なんだけれど、腐れ縁ってやつだなこれ。でも営業担当の沖野さんが電話よこして”叶井から聞いていました。いつにします?”叶井さんとは対照的にまじめで一生懸命な沖野さん。”やっぱだめ”だなんて言えなくてズルズルとブッキング(上映と上映日程決めること)。そして映画見たら、これがすごくおもしろい。個人的にはこの前やった、この監督の師匠ジョニー・トーの「エグザイル/絆」よりこっちの方が好き。映画の何一つ無駄のない、ハラハラドキドキの”あっ”という間の90分。監督ヤウ・ナイホイは香港ノワールの巨匠ジョニー・トーの脚本家。といってもジョニ・トー作品は基本的に脚本なしで撮影が進行していくので構成や記録とかを交えた脚本担当といっていい。黒沢明でいえば橋本忍ではなく青森県が生んだ巨匠小国英雄みたいな感じなのだろうか。映画初出演のヒロイン、ケイト・ツィの涼やかな目とレオン・カーファイ、サイモン・ヤムの、あんたらガンダムのニュータイプか?みたいな研ぎ澄まされた五感を超える感覚。「マジ叶井さんとこの映画なの?これ」と、おもわず言っちゃったラジオのHさんの驚くのも無理はない。惜しむらくは宣伝まったくしてないので世間が知らなすぎる。でも、こんな映画に出会えてメッケモン、得した感がある映画館もあっていいんじゃないか。おすすめです。