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朝日新聞 幕間小話 「歓びを歌にのせて」

 「歓びを歌にのせて」は、厳しい吹雪の冬が印象的なスウェーデンの映画だ。主人公のダニエルは世界的に名声を得ている音楽家。しかし、演奏で世界中を飛び回り身も心もボロボロになり、ついに舞台で倒れてしまう。そして、8年後まで埋まったスケジュールをすべてキャンセルし、生まれ故郷の田舎に安息を求めて移り住む。
 そこで、静かな余生を送るつもりだった。だが、教会の神父にコーラスの歌唱指導を頼まれる。最初は嫌がっていた彼も、音楽の素晴らしさを改めて感じ、自分の作りたい音楽を目指すようになる。コーラスの人々もまた、それぞれに問題を抱え生きていたが、ダニエルを通し、音楽から勇気をもらい人生の一歩を踏み出す自信を持っていく。
 映画の中で手をつなぎ、みんなで歌っている人々の顔は、とても幸せそうで、演技を越えて音楽の素晴らしさが伝わってくる。苦しみの中で受ける感動はとても深く、貴い。歌は人々に希望を与え元気をくれるものだと気づかせてくれる。悲しい時、つらい時、楽しい時、うれしい時、人間には歌がある。
 本国スウェーデンで大ヒットを記録し、さらには昨年のアカデミー外国語映画賞ノミネートの快挙を成し遂げた珠玉の一本。監督のケイ・ポラックは、このドラマチックな物語には、特別な光があふれる夏と吹雪で覆われる厳しい冬とのコントラストが必要不可欠だと、スウェーデン北部でこの映画を作った。
 青森もまた、その地に似て厳しい冬とねぶた祭りを代表する熱い夏がある。そう思うと、今年も雪で大変だが、この街もわるくないなと思う。

[2006.3.5]




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