映画館のブログだったことを忘れていたような
シネマディクトは映画館です。だから上映作品の話をたまには。
今、上映中の「海角七号/君想う、国境の南」は台湾で大ヒットした映画です。台湾では、この映画の上を行くのは「タイタニック」だけというほどのヒット作。しかも超親日的な映画なのです。大陸(中国本土)では、大幅にカットされてあまり話題にもならなかったようですが、そんなことはとにかく。日本が日清戦争後、清朝から割譲され統治した時代から現代における日本と台湾のお互いの”叶わぬ願い”を描いた映画です。時は現代、ロックスターの夢破れた若者が台北から故郷の台南に帰ってきます。なにもしないでぶらぶらしている若者を見かねて、街の顔役のおじさんが無理やり郵便配達をさせるところから物語は進んでいきます。ひょんなことからバンド活動もしなくてはいけなくなったり、日本人女性といがみ合ったり、それが恋に・・。配達されなかった60年前の手紙に出会って、今はない「海角七号」という住所を探し当てて、届かなかった思いを届けることはできるのでしょうか・・・・。
この映画は台湾でも、公開して、すぐ大ヒットしたのではなく、見た人が、もう一度見たい、恋人と、今度は家族で、じいちゃんばあちゃんと一緒にと口コミで評判になってじわじわとヒットした作品です。劇中に歌われる「野ばら」は日本統治時代の唱歌で、年配の人はみんな知っている愛唱歌なんだそうです。この映画を通じて僕も台湾の過去現在を知り、世界中で一番(特にアジアの中では唯一)親日ともいえる台湾。終戦後、引き揚げの苦難の中で台湾の人々の恩恵や、国と国ではなく、いろいろな壁を乗り越えて日本がもっと台湾を知るところからはじめなければと思う映画でもありました。
ちなみにヒロインの田中千恵はメーキャップ・アーティストのトニー田中の娘さんだそうです。5月21日までの上映です。