うちのオスカー君
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うちのオスカー君は働き者である。
なんてったって、もう6年間もアカデミー賞の発表があるといつも最優秀作品賞を獲 得し た映画のポスターの横に寄り添って黄金の勇姿をあらわす(だいぶ色褪せてきたけ ど)。
彼がシネマディクトにやって来たのは6年前の春。今は無き配給会社!松竹富士から やって来た。担当セールスの奈良さんは、アンパンマンみたいな人で、いつもニコニ コしてて、東北に出張なんてすると営業部長が電話してきて「うちの奈良来てない? どこいったんだアイツは」と会社から探されてる鉄砲玉の如くの、まだ若いのに昔の 映画セールスの匂いのする人でした(あとで聞いたら骨董が趣味で各地の骨董屋をめ ぐっていたらしい)。その松竹富士の奈良さんがシネマディクトに最初に売った映画 が「イングリッシュ・ペイシェント」アンソニー・ミンゲラがミラマックスで作った 作品。
シネマディクトとしては平成9年3月15日にオープンして以来6本目の作品で5月3日の初日でした。
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映画館に行くとボール紙で作られている映画のポスターに似たデカイ立て看板が置い てありますが、これを”スタンディ”といいます。U・I・PやFOXなどのメ ジャーはアメリカで大量に作ってますから数種ある宣伝材料のなかでもこれは”た だ”でもらえますが、 松竹富士は独立系(インディペンデント)で製作会社のミラマックスも独立系という こともあり最初はスタンディなしでした。そしたら奈良さんから電話来て「アカデ ミーなんか獲りそうだからスタンディ作るんだけど、そっちもちで実費2万円だけど 買う?」と聞かれ「買う」と答えました。そして送られてきたのが「イングリッシュ ・ペイシェント」のスタンディ。他のメジャー作品の凝った作りとは違いポスターを 大きくしただけのスタンディでしたが、これには別にアカデミー賞発表前にもかかわ らず”でっか く”「受賞!」の文字とオスカーが後付けされるようにできてました。奈良さん電話 で「オスカー獲ったらつけてね」「もし獲らなかったらどうすんの?」と僕。「いっ ぱいノミネートされてっから絶対大丈夫!」と奈良さん。毎日のように電話がきて受 賞の発表が近ずいてくると「まあなんか引っかかるでしょう」「でもシャインもいい せんいってるかもねー」「けっこうシャイン人気あるんだよね・・」とだんだんトー ンダウン発表前日になると「やっぱシャインが作品賞かなー」って「どーすんのオス カー」といいながらしっかりKUZUIと「シャイン」のブッキングを済ましている 僕でした。
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その後、「イングリシュ・ペイシェント」は最優秀作品賞をはじめ、監督 賞、助演女優賞、美術賞、撮影賞、衣装デザイン賞、編集賞、オリジナル作曲賞、音 響賞のなんと計9部門も受賞! 奈良さんも「ね!♪獲ったでしょ!大丈夫って言ってたじゃない!♪」 おいおい。
それから「イングリッシュ・ペイシェント」のスタンディは上映終了後なくなりまし たが、オスカー君は捨てるのにしのびなく、その後もずーっとシネマディクトにいま す。
なんかここまで来ると彼がいるからシネマディクトのブッキングの作品がオープン以 来ずっと最優秀作品賞に輝いているのかなーと思ったりして。