2007年5月31日

朝日新聞「パッチギ LOVE & PEACE」

Filed under: 奈良屋通信 — dict @ 12:00 AM

明治の名優、歌舞伎の五世・尾上菊五郎は、毎月25日は“怒る日"と決めて朝からあたりかまわず怒り散らしたそうだ。でも、この場合の怒るは、自分のため に怒るのではない、相手のために怒ることである。「怒る」という行為は、やり慣れていないと、結構疲れるし勇気がいる。最近、人のために怒る人、叱る人が 少なくなったような気がする。「パッチギLOVE&PEACE」の井筒和幸監督も、そんなオコリンボウの一人。とくに映画制作に関しては、とても 厳しく妥協を許さない。おっかない、怒る監督だという。近年の映画は、ビデオカメラで撮影し、その場で確認、駄目だったら、いくらでも撮りなおしができ る。時間的にも経済的にも映画製作の主流になっているがスピルバーグなど、いまだにフィルムに固執して作り続けている監督もいる。「パッチギ LOVE&PEACE」の出演者、西島秀俊は、何度もNGを出され、その度にフィルムを回して監督が納得いくまで何度も撮りなおしをした。「なか なか無い現場を体験させてもらった」と言っている。絶対に途中で妥協しない。それが怒れる男、井筒監督なのだ。厳しくも暖かい。そして、激しくも優しい、 荒ぶる魂の男が作った映画「パッチギLOVE&PEACE」の舞台は前作の68年の京都から74年の東京へ。病気の息子を救うため危険な賭けに走 る兄アンソン。自らの出自を隠して芸能界に入り様々な葛藤に悩み傷つく妹キョンジャ。前作では登場しなかった父親の若かった頃のエピソードも交えながら、 在日朝鮮人三代にわたって受け継がれてゆく“命"のドラマ。この映画で、見る人自身が差別や人種や偏見をパッチギ(「乗り越える」という意味)できるか。 ついに出来上がった熱き血潮の物語。

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