ジュリアン・シュナーベルの思い出
「潜水服は蝶の夢をみる」の監督、ジュリアン・シュナーベルには、忘れられない思い出がある。前作「夜になる前に」の試写を松竹本社の試写室で見たときのこと。「バスキア」の監督以外なにも知識がなくて、ただジョニー・デップがヘンな役でちょい出ているくらいの感じで見に行ったのに試写室観客ゼロ!「えっ!」時間間違えたと思ったくらい。そしたらおもいっきりポルトガル語かなんかで大声で談笑しながら体でかい南米っぽいい二人組みがやって来て、この3人で異常に冷房効いた試写室。しかもなんかニンニクくさい寂しく寒い真夏の暗闇で見たシュナーベルの映画はむなしく切ない孤独な作家の物語だった。匂いと肌寒さだけが思い出に残った作品。今をときめくバビエル・バルデム主役の映画は素晴らしかったんだけれど南米(たぶん)の方々の匂いとヒソヒソばなし(でもないくらいの音量)だけが心の奥深く刻まれた思い出。
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