2007年2月19日

さくらん TOO LIFE コラム

Filed under: 奈良屋通信 — Cinamedict @ 12:00 AM

男性でも女性でも異性に好かれるタイプと、同姓に好かれるタイプがある。最近、女性では役者やタレントに限らず、女性が女性に好感を持たれる方が、人気が ある。反対に異性にもてるタイプは、「男に、こびを売る」と思われがちで、あまりパッとしない。今や男女同権、ジェンダーフリーの時代。それどころか、ウ ジウジ情けない男と、バリバリできる女の世の中。これも時代の流れなのか、男としてはちょっと寂しい。映画館で仕事していて、とてもきになるのが、映画を 見に来る若いカップルの7割方は、なんと女性が金払うご時勢だ。トホホ・・なんとかなんないか日本男児!
映画「さくらん」は、監督、蜷川実花。原作、安野モヨコ。脚本、タナダユキ。音楽、椎名林檎。そして主演、土屋アンナ。みごとなくらい女の映画なのであ る。それも男にこびない、女に人気のある女ばかりの映画。男は添え物にすぎない、絢爛豪華なエンタテインメント。伝説の演出家・蜷川幸雄を父に持ち、いま や世界的フォトグラファーとして活躍している蜷川実花の映画監督デビュー作なのだ。昔、総天然色と称したカラー映画があったが、この作品はビビット・ガー ルズ・カラーとでも言うのか。見ているものの胸に突き刺さって来るかのような鮮烈な色調で女の情念や悲しさ、したたかさを、持ち前の写真家としての感覚で 時代考証なんてどうでもいいくらいの感覚で描いている。主演の土屋アンナも「アンナが出ているだけで見たいと思う」そんな若い女の子がたくさんいると聞 く。あの花魁のカッコウをして、ライバルの花魁を蹴り倒し"啖呵"をきる。カッコイイと思うのも、うなずける。アンナはアンナで、この物語の主人公・きよ 葉を演じているわけだが、まさしくマンガの「さくらん」の主人公と融合しているのだ。この女たち只者ではない。映画のみだけではなく、今の日本、ガール・ パワーがみなぎっている。

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