2007年1月22日

ヅラ刑事

Filed under: 奈良屋通信,幕間小話 — dict @ 12:00 AM

シネマディクトをオープンしてこの3月で10年を迎える。思い起こせば13年前、父が突然消えるように亡くなり、これからどうしようと思い悩んでいた。そ の当時は、まだシネコンもそんなにあったわけでもなく、映画産業そのものが冷え込んでいた時代。ボロボロのピンク映画館で1人、映画の商売を続けるか、や めるか決めかねていた。そんな時、洋画のピンク映画の営業マンとして、ある男がやって来た。父が死んで自動的に社長になった僕としては初めての対外的な仕 事相手。その時の印象は、(今でもあまり変わらないが)、トッポイお調子者といった感じ。それが叶井俊太郎との出会いだった。今では映画業界で知らないも のがいないほどの有名な企画・宣伝マン。ゲロゲロのホラー映画と思い込み、勘違いして買って輸入したフランス映画「アメリ」が大ヒット。「日本沈没」がリ メイクされたら「日本以外全部沈没」作っちゃったり。「エビボクサー」「イカレスラー」「コアラ課長」わけがわからないけれど面白い映画作ったりと大活躍 している。そして彼の企画最新作が「ヅラ刑事」。モト冬樹が主役の刑事が、かぶっているカツラを投げ飛ばし犯人を捕まえる奇想天外なストーリー。実際よく もまあ、こんな映画ばっかり作るもんだと、あきれている僕もこうして自分の映画館で上映するのだからどっちもどっちだけれど。
13年前、仕事の話は何を話したかは忘れてしまったが、今でも覚えている忘れなれない彼のことばがある。二人で昼飯食いながら、彼は僕に「谷田さん、映 画っていいよね。やめないでね。」ぼそっとつぶやくように言った。そのことばが今のシネマディクトになったようなきがする。それから死ぬほど大変な日々が 待っていたけれど。今でも僕は「映画っていいよね」って、言ってくれた彼に感謝している。

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