TOO LIFE ボルベール
トザイナ、トザイナ、むかし神代の始まりは、イザナギ、イザナミ、ふた柱・・・
やっぱりホントはコッカラダー♪津軽漫芸で、昔は斉藤又四郎、今なら黒石
八郎さんが得意としているコッカラ舞の最初のくだり。
コッカラというのは女性の“あそこ”を指していて、おどけた踊りと歌詞に笑い
を誘う民謡だ。突き詰めていくと、偉い人でも大悪人でも、昔からみんな“ここ
から”出てきたんだよといった、中々意味深い老子の教えにも通じる歌。
母なる大地じゃないけれどモトをただせば、母・女性は偉大なのである。
いつの世も、男と女がいて、生まれ死んでいく。その根本には、生みの痛み
を初めとした、さまざまな痛みを抱えながらも、それを乗り越える女性が
いる。映画「ボルベール<帰郷>」は、女性より女性の心を知り尽くしている
といわれる、スペインを代表する映画監督ペドロ・アルモドバルの最新作。
ラテンの情熱的な色彩と音楽が溶け合って、見る人すべての母性を奮い
立たせ、女であることの喜び、悲しさ、たくましさを描く、女性賛歌三部作の
最終章。これまでの二本は、息子を失った母親を描いた『オール・アバウト・
マイ・マザー』でアカデミー賞外国語映画賞を、そして『トーク・トゥ・ハー』
でアカデミー賞最優秀オリジナル脚本賞を受賞している。
「ボルベール」では、主演のペネロペ・クルスを始めとする6人の女優全員に、
本年度のカンヌで最優秀主演女優賞が贈られるという快挙を達成した。
監督の故郷ラ・マンチャを舞台に、ある時は母として“たくましく”、ある時は
娘として母に“甘え”、女として“したたかに”そして“情熱的に”ふるまう主人公
ライムンダを演じるペネロペが素晴らしい。
この映画を見て、女性ならば女に生まれたことを誇りに思い、男性ならば
母を思う。心に、じわじわとしみ入るような、そんな感動が見た後に感じ
取れる映画。やっぱり“ふるさと”は偉大だ。
伯母の死をきっかけに故郷を訪れたライムンダはそこに懐かしき亡き母の
匂いを感じる。
母が教えてくれた「ボルベール」を歌いながら生前、分かり合うことのなかっ
た母との関係に思いをはせる彼女だったが、ふと窓の外に死んだはずの
母の面影を見る…。タンゴの名曲に乗せて贈る、 哀しくも可笑しい、祖母
・母・娘三世代の人生を綴った感動のドラマ。
スペイン映画
監督:ペドロ・アルモドバル
主演:ペネロペ・クルス