2001年5月24日

「フィルムIII」

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またフイルムです。なにせこれがなければ映画は始まらないし写らない。サイズも基本的には映画100年の歴史で変わらない幅35mm、長さは作品により多 少異なりますが普通1巻が2000フィート(約610メートル)弱で約20分、上映時間2時間の映画は概ね1本6~7巻ということになります。
画面の縦横比には1:1.38のスタンダード(最近の映画館で公開される作品はほとんどこのサイズはありません。シネコンはほとんどこのレンズは装備して ないとか)、1:1.85のビスタビジョンサイズ(通称”ビスタ”一時スピルバーグ監督なんかが上映後の、ビデオやTV放送までのマーケティングを考えて このサイズがおおはやりの時期がありました)1:2.35のシネマスコープ(通称”シネスコ”昔は”東映スコープ”なんてのもありました。最近の「タイタ ニック」のヒット以来大作はシネスコあたりまえになってますが日本が誇る「男はつらいよ」は山田監督のこだわりで一貫してシネスコでした)サイズなど様々 なものがあります。
素材的には「シネマ・イン・パラダイス」でもあった非常に燃えやすい素材だったナイトレート・ベースから燃えにくいアセテート・ベースにかわり現在はポリ エチレンテレフタラート・ベース(PETボトルと同じ材料)が主流になってます。どう変化したかというと、ナイトレートからアセテートに移行して燃えない フイルムになり(といっても焦げて穴があきます)ポリエチレンになってからは非常に丈夫になりました。
丈 夫過ぎてまだまだ改良の余地があります。技師的な立場から言えばアセテートは切れやすく、パーフォレーション(脇の穴ぼこの部分)がすぐボロボロになりま したが、ポリの場合強すぎて機械的な事故の場合、機械がフイルムに負けて壊れます。お客様の側に立つってみるととんでもない言い分ですけど、切れてくれた 方がいいんです。
映写についてはいろいろな事故がおきますがこのフイルムが強くなったおかげでたくさんの要因が増えました。
また編集のさいフイルムとフイルムをつなげるのにも、昔は1パーフォぶんカミソリで薬品部分を削ってフイルム・セメントで接着してました、子供の頃映写室で屑フイルムでくっつけて遊んでました。
いまはテーパーという機械でテープでつなげます。(図参照)
でもなんか昔のカミソリで削ってくっつけるのが職人的で僕は好きなんですけどポリはセメントではつきません。なんか味気ないです。

2001年5月2日

奈良屋通信 別冊

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COPPOLAゴー ルデン・ウィーク→花見→酒ということで  ちょっと脱線してお酒の話。 当然奈良屋通信ですから映画が関係しますが、 わたくし非蔵のワインの紹介です。 普通ワインなら秘蔵ですが、すぐ飲んじゃうので 非蔵(いつまでも家にあるわけじゃない)です。 この3本は僕が敬愛するフランシス・フォード・コッポラ が作ってるワインなんです。 最近とんと映画を作らなくなったコッポラですが、カリフォルニアワインの聖地ナパ・ヴァレイでワイン作りに情熱を注いでいたのです! お味のほうは、まさにイタリア!さすが「ゴッドファーザー」の監督、左はじの赤ワインは値段も2000円前後と手軽でカリフォルニア特有の品種ジンファン デルとイタリアワインの代表種サンジョヴェーゼなどを巧みにブレンドした気軽なテーブルワインです。でもワイナリーの親父もいいけどやっぱりコッポラの映 画が見たいですよね。娘のソフィアも「バージン・スー・サイズ」でその才能を開花した今こそフランシスの監督作品を待ちわびる僕です。 [2001.05.2]

2001年4月14日

「フィルムII」

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 これは予告編の箱です。
昔はブリキのフイルム缶に入って来ましたが、今はほとんどがこのボール紙の箱に入って来ます。中身はこんな感じでこれで2分半ぐらいでしょ うか。この予告は新しい予告「NEWプリント」ではなくどっか他の劇場で使った後のお古です。
フイルムには映像を映したり、音を出したりする役目のほかに、現在はコンピュータで映写を管理しているためさまざまな信号をフイルムに貼り付けます。信 号といってもフ イルムのみみのはじに5mmほどの銀紙を貼り付けてるだけですが、それがセンサー を通ると2台映写だと切り替わったり、ビスタサイズからシネマスコープにレンズが変わったり、それにあわせてスクリーンのバリマスク(黒い幕)が広がった り、スク リーン・カーテンが閉じたり、照明がついたりするわけです。
わかりやすいのは映画 を見ているとき右はじ上の方にまるい白い穴がときおり映ります。これはポイントといってつぎのフイルムのつなぎめのタイミングをしらせる穴なんです。この 場所に銀紙をはってタイミング良く1号機から2号機に切り替わるようにしています。
でもNEWプリントならいざしらず、どっかで使ったフイルムで適当にばらして銀紙とかは がしてないと大変です。ですから私の劇場では、どんなに遅くなっても必ずお客様に上映する前にコンピュータに通してテストしています。それでも上映事故は 起きます。 この前「ユリョン」の初日の2回目の上映時いきなり途中から始まったのもこのセンサーのいたずらで、しかも逆転の銀紙がなぜか本編の中ほどについていて巻 き戻しの途中で巻き戻しが止まってしまいあのような結果になりました。[2001.04.14]

2001年3月4日

「フイルム」

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 これは「夢の塊」の中身。フイルムです。
業界用語では「プリント」と呼ばれる劇場用のフイルムは35mm、16mm、80mmがありますが。一般的なのは、この35mmです。この幅35mmの 中にいろいろな情報が組み込まれていますが、光を当てて映像を映し出す部分と、音を出す部分に大別されます。
まず映像の部分ですが、この一コマが24個で一秒の映像になります。白黒がカラーになったことぐらいでこれはもう何十年もかわりません。愕然と変わった のは音を出す部分で、最初は音が出るだけですごかったのにそれがステレオに進化して、その後ドルビー社がドルビーサ ウンドを開発、そこからSR(スペクトラル・レコーディング)と進化してその後、現在のデジタル・サウンドと進化していきました。
しかし現在のところデジタル・サウン ドと呼ばれる映画の音源はドルビー社のSR-DとDTS社のDtsとソニーが開発したSDDSの3種類があります。凄いのは、各社ともこの35mmの限ら れたスペースにみごとに音を貼り付けていることです。ライン(音の入ってる場所)は図にある通りですが、よくもまあこんなとこにあの大音響が張り付いてる もんだと感心します。ここにはもっと普通のひとが知らない秘密があります。続く。

2001年2月24日

「夢の塊」

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 これはなんでしょうか?
これは夢の塊。
そう映画のフイルムです。ちなみにこれは3月3日公開の「偶然の恋人」です。このような形で配給会社のフイルムの倉庫や前に上映していた映画館から送ら れてきます。いまは宅配便で劇場まで届きますが、15年 くらい前までは駅まで持って行って貨物で送ってました。
昔はフイルム本数も限りがありブッキング(上映予定)もキチキチで日程の余裕がなかったので上映が終了したらすぐフイルム缶にしまって駅まで持っていっ たものでした。貨物便で間に合わないときは客車(はつかりとかゆうずるとかに)につんで送り先の劇場に”はつかり3号の4号車”といった感じで電話して 送ったり、国鉄じゃ間に合わない!ときは直接車で持ってたり大変でした。
僕は小さいころから夜の青森駅の雰囲気”とくに貨物”が 好きで必ず劇場の倉内さんや相馬さんにくっついていきました(なつかしいです)。 ケッコウ重たいので今の宅配便の便利さがありがたいです。飛脚さん・クロネコさん ・ペリカンさん・赤帽さん・宅配業者さんいつもいつもご苦労様です。感謝感謝。

2001年2月17日

開店当時の奈良屋。

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トザイトウザイ!
このほどシネマディクト・ホームページこけらおとしにあたり、おん口上を奉ります。なんてむかしばったオープニングで始まりました奈良屋通信。
わたくし奈良屋劇場三代目館主・谷田恵一と申します。
思い起こせばといっても正直なところまだ生まれてませんが50年くらい前に、青森市古川夜店通りの一角に映画館ができました。その名も「奈良屋劇場」。
それまで商ってた蚊帳問屋の屋号をそのまま劇場名にしてしまった初代・谷田猷次郎、わたしのじいさんですが、この人とんでもない人で映画館を作ってから 映画会社に映画を上映したいと映画会社 にかけあいに行って、相手にしてくれないとみると、作ってるところに行けばなんと かなると撮影所にいってとうとう映画の商売を始めちゃった人です。こけらおとしの上映作品は東映映画チャンバラの名作「笛吹童子」だったと聞いています。
写真は昭和37年火事で焼けたあと突貫工事で焼ける前とほとんど同じに作った二代目奈良屋劇場です。昔ながらの花輪が懐かしいです。花輪の名前も「美空ひばり」とか「大川橋蔵」とか書いています。
とりあえずこうして奈良屋劇場は始まりました。館名はシネ マディクトになっても会社名は(株)奈良屋劇場のままで今でもこのアジアのファーイーストで活動の商売やってます。
これからも雑多にいろんなことを書きたいとお もってますので、ご意見ご感想お待ちしています。

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